労災で休業中に退職代行は使える?休業補償と退職後の給付の扱い

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労災で休業中に退職代行は使える?休業補償と退職後の給付の扱い

労災で休業している間でも、労働者から退職を申し出ること自体は制限されません。労災保険の給付を受ける権利は退職によって変更されないと法律で定められているため、休業補償の給付は辞めた後も条件を満たす限り続きます。退職代行を使う場合の注意点と手続きの流れを整理します。

目次

労災で休業中でも退職の申し出はできる

業務中のけがや病気で療養しているあいだ、会社は原則としてその労働者を解雇できません。労働基準法第19条が、療養のために休業する期間とその後30日間の解雇を制限しているためです。ただしこれは「会社が辞めさせること」を制限する規定であり、労働者の側から辞めることを止めるものではありません。

期間の定めのない雇用であれば、民法第627条第1項により、いつでも解約を申し入れることができ、申し入れの日から2週間が経過すると雇用は終了します。休業中であっても、この点は在職して働いている人と変わりません。会社の同意がなければ辞められない、という説明を受けた場合でも、法律上は申し入れから2週間で契約は終了します。

一方で、有期雇用(契約社員・パートなどで契約期間が決まっている場合)は扱いが異なります。原則は契約期間の満了まで働くことが前提で、途中で辞めるにはやむを得ない事由が必要とされます。療養が長引いて働けない状況は、その事由に当たると判断される余地がありますが、個別の事情によって結論が分かれるところです。契約書の期間と更新の有無を、先に手元で確認しておいてください。

休業補償の給付は退職しても止まらない

ここが最も誤解されやすい点です。労働者災害補償保険法第12条の5第1項は、保険給付を受ける権利は労働者の退職によって変更されない、と定めています。つまり、労災と認定された傷病について給付を受けている人が会社を辞めても、そのことを理由に給付が打ち切られることはありません。療養が続いていて働けない状態が続いているかどうかで判断されます。

労災保険の給付は、会社が支給するものではなく、労働基準監督署が国の制度として支給するものです。請求書には会社の証明欄がありますが、会社が証明を拒んだ場合でも、その理由を記載して提出することができます。辞めた会社と連絡を取りたくないという理由で請求をあきらめる必要はありません。

休業補償の金額と待期期間

厚生労働省の労災保険Q&Aによれば、休業1日につき給付基礎日額の80%(休業(補償)等給付が60%、休業特別支給金が20%)が支給されます。給付基礎日額は、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額で、事故が発生した日の直前の賃金締切日からさかのぼった3か月間の賃金総額を、その期間の暦日数で割って算出します。賞与など3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、この計算に含まれません。

また、休業の初めの3日間は待期期間とされ、労災保険からは支給されません。支給の対象になるのは休業4日目以降です。待期期間の3日分については、業務上の災害であれば会社が労働基準法上の休業補償を行うこととされています。

なお、労災保険の休業補償と、健康保険の傷病手当金は別の制度です。業務外の病気やけがであれば傷病手当金の対象になりますが、両方を重ねて満額受け取れるわけではありません。どちらに当たるかで手続きの窓口も金額も変わるため、業務外の療養で辞めるケースは退職代行と傷病手当金の記事のほうを確認してください。

退職代行に依頼する前に確認したいこと

労災で休業中の退職は、通常の退職よりも会社とやり取りする事項が多くなります。依頼する前に、次の点を手元で整理しておくと話が早く進みます。

  • 労災の認定を受けているか、それとも申請中か(申請中なら請求書の提出状況)
  • 主治医の診断書や療養の見込み期間
  • 会社が休業補償の請求書に証明をしてくれているか
  • 会社から借りている備品、社宅、貸付金の有無
  • 有給休暇の残日数と、休業期間中の扱い

特に、労災の請求手続きが途中で止まっている場合は注意が必要です。退職の連絡と同時に会社側の対応が止まってしまうことがあるため、先に請求書を提出しておくか、退職代行の担当者に「請求手続きが未了である」ことを最初に伝えてもらうほうが安全です。休職との違いや会社との連絡の取り方は、休職中の退職代行についての記事もあわせて参考にしてください。

対応できる範囲は運営元によって変わる

退職代行のサービスは、運営している主体によってできることが違います。民間企業が運営するものは、退職の意思を会社へ伝えることが中心で、条件の交渉はできません。労働組合が運営するものは団体交渉権にもとづく交渉ができ、弁護士が対応するものは交渉に加えて法的な請求まで扱えます。

運営主体 退職の意思を伝える 条件の交渉 損害賠償などの請求
民間企業 できる できない できない
労働組合 できる できる できない
弁護士 できる できる できる

労災のケースでは、会社が労災であること自体を争っている、安全配慮義務違反として損害の賠償を求めたい、未払いの休業補償をめぐって対立している、といった状況になることがあります。そこまで踏み込む可能性があるなら、最初から弁護士が対応するサービスを選んだほうが、途中で依頼先を変える手間がありません。違いの詳細は運営元による違いをまとめた記事で確認できます。料金の目安としては、民間企業が運営するサービスは2万円台から、弁護士に依頼する場合はそれより高い水準になるのが一般的で、料金を抑えたい場合の選び方も参考になります。

退職した後の手続きはどう進むか

退職後も療養が続く場合、休業補償の請求は自分で労働基準監督署に対して行っていくことになります。請求書の様式は、退職前と同じものを使います。会社の証明欄については、退職後の期間にかかる分は会社が証明できる立場にないため、監督署の指示に従って処理されます。手続きで迷ったときは、まず管轄の労働基準監督署に問い合わせるのが確実です。

あわせて、健康保険と厚生年金の切り替え、雇用保険の手続きも発生します。療養中ですぐに働けない場合、失業給付は「働ける状態にあること」が前提のため、そのままでは受給できません。受給期間の延長を申し出ておくと、働ける状態になってから受け取れるようになります。会社と直接やり取りせずに労働基準監督署へ相談したいケースについては、退職代行と労働基準監督署の違いの記事で役割の切り分けを説明しています。

よくある質問

労災で休業中に辞めると、給付は打ち切られますか

退職したこと自体を理由に打ち切られることはありません。労働者災害補償保険法は、保険給付を受ける権利が労働者の退職によって変更されないと定めています。給付が続くかどうかは、療養が必要な状態が続いているかどうかで判断されます。

労災の申請がまだ終わっていませんが、先に辞めても大丈夫ですか

退職後でも請求はできますが、会社の証明を得る作業が進みにくくなることがあります。可能であれば請求書を提出してから退職の連絡をするか、退職代行の担当者に手続きが未了であることを最初に伝えてもらうのが無難です。

会社から治療費を請求されることはありますか

業務上の災害として労災が認定されていれば、療養の費用は労災保険から給付されるのが原則です。ただし、会社が独自に立て替えた費用の精算を求めてくる場合など、個別の事情で争いになることはあります。金銭の請求が絡む話は判断が分かれるところなので、弁護士や労働基準監督署などの専門窓口に確認してください。

退職代行の担当者は労災の手続きを代わりにやってくれますか

退職の意思を伝えることと、労災保険の請求手続きは別の話です。サービスによって扱う範囲が違うため、申し込む前に「労災の請求についてどこまで対応してもらえるか」を確認しておいてください。

まとめ

労災で休業していても、労働者の側から退職を申し出ることは制限されていません。休業補償の給付は退職によって打ち切られる性質のものではなく、療養の状況で判断されます。気をつけたいのは、労災の請求手続きが途中で止まったまま退職の話を進めてしまうことです。手元の書類の状況を整理したうえで、会社と争う可能性があるかどうかを見て、対応できる範囲に合った依頼先を選んでください。なお、個別の事情によって結論が変わる論点が多い分野なので、迷う部分は労働基準監督署や弁護士などの専門窓口に確認することをおすすめします。

※記載の給付の割合・条件は2026年9月時点で厚生労働省の公表資料に掲載されていた内容です。最新の内容は厚生労働省および管轄の労働基準監督署でご確認ください。料金の水準は各サービスの公式サイトでご確認ください。

労災をめぐって会社と意見が食い違っている場合や、賠償の話まで想定される場合は、法的な請求まで扱える弁護士対応のサービスで一度相談しておくと、進め方の見通しが立ちます。

弁護士法人ガイアの退職代行 無料相談はこちら(公式サイト)

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