取締役は退職代行で辞められる?役員と使用人兼務役員で変わる手続き

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取締役は退職代行で辞められる?役員と使用人兼務役員で変わる手続き

取締役などの役員は会社と委任契約を結んでいるため、労働者を前提とした退職代行をそのまま使えないことがあります。一方で使用人兼務役員のように従業員としての立場を併せ持つ場合は、対応できる範囲が変わります。役員が辞めるときの手続きの流れと、退職代行を頼れる範囲を整理しました。

目次

役員と従業員では「辞める」の意味が違う

従業員が辞めるときは、会社と結んだ雇用契約を解約します。期間の定めのない雇用であれば、民法627条1項により各当事者はいつでも解約を申し入れることができ、原則として申し入れから2週間が経過すれば契約は終了します。退職代行は、この申し入れを本人の代わりに会社へ伝える役割を担っています。

一方、取締役は会社と雇用契約ではなく委任契約の関係にあります。会社法330条により取締役と会社の関係には委任の規定が適用され、原則として取締役はいつでも辞任できると考えられています。つまり「退職」ではなく「辞任」であり、会社に伝えるべき相手も手続きの形式も変わってきます。

労働者ではないため労働法の保護が及びにくい

役員は労働基準法上の労働者に当たらないと扱われることが多く、残業代や有給休暇、解雇に関する規定の保護を原則として受けられません。有給を消化したい、未払いの残業代を請求したいといった目的で退職代行を検討している場合、役員の立場のままでは前提が成り立たないことがあります。

取締役が辞任するときの基本的な流れ

辞任そのものは、会社に対して辞任の意思を伝えることで効力が生じるのが原則です。ただし登記が残っていると第三者から見て取締役のままになるため、登記の変更までを一つの流れとして考えておく必要があります。

  • 辞任届を作成し、会社(通常は代表取締役)へ提出する
  • 会社側で辞任の事実を確認し、取締役会や株主総会の運営上の手当てを行う
  • 役員変更の登記を申請する(会社法915条1項により、変更が生じてから2週間以内)
  • 健康保険・厚生年金の資格喪失など、社会保険の手続きを進める

登記の申請は会社が行うもので、辞任した本人が自分で申請できるわけではありません。会社が登記を放置している場合の対応は個別の事情で判断が分かれるため、司法書士や弁護士などの専門窓口に確認してください。

人数が足りなくなると辞任が認められにくいことがある

取締役が法律や定款で定められた最低人数を下回ってしまう場合など、後任が決まるまで辞任した役員が引き続き職務を行うべきとされる場面があります。役員が2名しかいないような小規模な会社では、辞任の意思を伝えただけでは話が進まないこともあります。

退職代行を使える役員・使いにくい役員

退職代行は「労働者が雇用契約を終わらせる」ことを前提に組み立てられたサービスです。そのため立場によって依頼できる範囲が変わります。

立場 退職代行の利用
取締役・監査役のみ(従業員の立場なし) 労働組合型や民間型では対応できないことが多い
使用人兼務役員(部長兼取締役など) 従業員としての部分について対応できる場合がある
名目上だけ役員にされている(実態は従業員) 労働者性が認められれば対応できる可能性がある

申し込みの段階で役員だと伝えると断られることもあります。肩書だけでなく、誰の指示で働いていたか、勤務時間が管理されていたか、報酬が給与として支払われていたかといった実態を整理して相談すると、判断がしやすくなります。

使用人兼務役員が辞めるときに確認したいこと

部長や工場長などの従業員としての肩書と、取締役としての肩書を併せ持つ立場が使用人兼務役員です。この場合、従業員部分の雇用契約と役員部分の委任契約が同時に存在していると整理されることがあります。

辞めるときは、どちらを終わらせるのかをはっきりさせておくことが大切です。従業員部分だけを辞めて役員として残るのか、両方を同時に終わらせるのかで、提出する書類も社会保険の扱いも変わります。退職代行に依頼する場合も、どこまでを会社へ伝えてほしいのかを最初に共有しておくと、すれ違いが起きにくくなります。

報酬の扱いが変わる点にも注意

役員報酬と給与は税務上の扱いが異なり、退職金の計算方法も分かれることがあります。金額に関わる部分は会社の規程や契約内容によって結論が変わるため、税理士や社会保険労務士などの専門窓口に確認したうえで進めてください。

役員が辞めるときは退職代行の型の違いを押さえる

退職代行には大きく民間型・労働組合型・弁護士型があります。民間型は会社への連絡を伝えるだけで交渉はできず、労働組合型は団体交渉権を使った交渉ができますが、これは組合員である労働者を前提とした仕組みです。役員の立場が絡む場合は、委任契約の解除や登記の問題まで含めて相談できる弁護士型が、現実的な選択肢になりやすいです。型ごとの違いは退職代行の種類「労働組合型・弁護士型・民間型」の違いと選び方で詳しく整理しています。

どの場面で弁護士に依頼する意味が出てくるかは退職代行に弁護士が必要なケースを参考にしてください。役員ではなく業務委託契約で働いている場合は業務委託・フリーランス契約でも退職代行は使える?、店長や管理職として辞めにくさを感じている場合は店長・管理職でも退職代行は使える?が近い内容です。

料金は、民間企業が運営するサービスよりも弁護士が対応するサービスのほうが高めに設定されていることが一般的です。役員が関わる案件は個別性が高いため、見積もりがどこまでの対応を含むのかを事前に確認しておくと安心です。

よくある質問

取締役を辞任したいのに会社が認めてくれません

辞任は原則として本人の意思表示で効力が生じると考えられていますが、後任が決まらない場合や取締役の人数要件を満たせない場合など、例外的な扱いになる場面があります。会社が登記を変更しないまま放置しているときの対応も含め、弁護士や司法書士に相談してください。

役員でも失業保険はもらえますか

役員としてのみ在籍していた期間は雇用保険の被保険者にならないのが原則で、その期間は失業保険の受給要件に算入されません。使用人兼務役員として雇用保険に加入していた場合は扱いが変わるため、離職票の記載とあわせてハローワークで確認してください。手続きの全体像は退職代行を使ったあとの失業保険(雇用保険)の受給手続きで解説しています。

名ばかり役員にされている場合はどうなりますか

肩書が役員でも、実際には上司の指示で決まった時間に働き、給与として報酬を受け取っていた場合は、労働者として扱われる可能性があります。労働者性が認められれば退職代行を利用できる余地が出てきますが、判断は個別の事情によります。

辞任届はどのように書けばよいですか

一般的には、宛先、辞任する旨、辞任の日付、署名を記載した簡潔な書面で足ります。会社の定款や社内規程で様式が決まっている場合は、それに従ってください。

まとめ

取締役などの役員は会社と委任契約の関係にあるため、労働者を前提とした退職代行をそのまま利用できない場合があります。使用人兼務役員や名ばかり役員のように従業員としての実態がある場合は、対応できる余地が出てきます。まずは自分の立場が契約上どう位置づけられているかを整理し、辞任届から登記までの流れを把握しておくことが近道です。法律や税務の判断が絡む部分は個別の事情で結論が変わるため、弁護士・司法書士・税理士などの専門窓口にあわせて確認してください。

役員の立場が絡む退職は、委任契約の解除や登記の扱いまで含めて整理が必要になります。法律面の判断をあわせて相談したい場合は、弁護士が対応する退職代行の無料相談を利用する方法があります。

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