日本で働く外国人が退職代行を使うとき、費用は日本人が依頼する場合と同じ仕組みで決まります。ただし言葉の対応や在留資格がからむぶん、安さだけで選ぶと後から困る場面もあります。この記事では運営元ごとの料金相場と、依頼する前に確認しておきたい点を順に整理します。
外国人だからといって料金が上乗せされるわけではない
まず前提として、退職代行サービスの料金は依頼する人の国籍によって変わるものではありません。公表されている料金表は日本人でも外国人でも同じ金額が適用されるのが一般的です。「外国人だと高くなるのでは」と心配して問い合わせをためらう必要はありません。
一方で、日本語でのやり取りが難しい場合に通訳や翻訳を挟むと、対応できる業者が限られてくることはあります。金額そのものより「対応してもらえるかどうか」で選択肢が絞られる、と考えておくと実態に近いでしょう。退職代行そのものの手続きの流れや必要な届出については、外国人が退職代行を使うときの注意点|在留資格と届出の手続きで詳しく整理しています。
運営元によって料金相場は大きく変わる
退職代行の料金差は、サービスの良し悪しというより「誰が運営しているか」でほぼ決まります。運営元は大きく三つに分かれ、法律上できる業務の範囲がそれぞれ違うため、その範囲の広さが料金に反映されます。
民間企業が運営するサービス
いちばん安い価格帯に位置するのが、一般の民間企業が運営するタイプです。会社に退職の意思を伝える「連絡の代行」が中心で、二万円台から見つかることもあります。会社側と条件を交渉することはできないため、そのまま受理されそうな見込みが高い人に向いています。
労働組合が運営するサービス
労働組合が運営するタイプは、団体交渉権にもとづいて有給の消化日や退職日について会社と話し合うことができます。相場は民間企業型よりやや上になりますが、条件面で押し返されそうなら選ぶ価値があります。
弁護士が対応するサービス
三つの中では最も高く、内容によって金額の幅も大きくなります。ただし、未払いの残業代を請求したり、損害賠償をちらつかせる会社に法的に対応したりできるのはこのタイプだけです。運営元ごとの違いは退職代行の種類と違いにまとめています。料金だけを横並びで比べたい場合は安い退職代行の比較ページもあわせてご覧ください。
安さだけで選ぶと困りやすい場面
費用を抑えること自体は当然の判断ですが、外国人が依頼する場合は次のような場面で「安いほうを選んだせいで手間が増える」ことが起こりえます。
- 未払いの給与や残業代が残っている…金銭の請求は弁護士でなければ扱えません。民間企業型に依頼しても回収は進みません。
- 会社から違約金や損害賠償を持ち出されている…法的な反論が必要になるため、交渉権のない業者では対応が止まります。
- 退職証明書や離職票を早く出してほしい…交渉できるタイプのほうが催促まで踏み込めます。
- 寮や社宅に住んでいて退去の期限が絡む…退職日と退去日の調整が必要になり、連絡の代行だけでは足りないことがあります。
未払い賃金が残っているときの進め方は退職代行で未払い賃金を請求する方法で解説しています。金額の請求が絡む話は判断が個別に分かれるため、弁護士など法律の専門窓口に確認してください。
言葉の不安を費用をかけずに埋める方法
ひとつは、無料相談の段階で使いたい言語を先に伝えてしまうことです。多言語対応をうたっていなくても、やさしい日本語での対応や、チャットで文字に残すかたちなら問題なく進むケースは少なくありません。口頭より文字のほうが翻訳アプリを併用しやすく、行き違いも減ります。
もうひとつは、日本語が読める家族や友人、支援団体に同席してもらうことです。手続きそのものは代行会社が進めてくれますが、確認する内容を一緒に読んでもらえるだけで安心感は変わります。自治体の外国人相談窓口や、外国人労働者向けの労働相談窓口は無料で利用できるところが多く、費用をかけずに第三者の目を入れる手段として現実的です。
依頼する前にそろえておきたいもの
相談がスムーズに進むとやり取りの往復が減り、結果として追加の手間や費用が発生する余地も小さくなります。手元に用意しておきたいのは次の情報です。
| そろえるもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 会社名・所属部署・上司の名前と連絡先 | 代行会社が誰に連絡するかを決めるため |
| 雇用契約書または労働条件通知書 | 契約期間や退職の取り決めを確認するため |
| 直近の給与明細 | 未払いがないかを確認するため |
| 在留カード | 在留資格と期限を自分で把握しておくため |
| 会社から借りているものの一覧 | 返却の段取りを一度で伝えるため |
なお在留資格は、退職したあとに届出や変更の手続きが必要になる場合があります。ここは退職代行の業務範囲の外なので、出入国在留管理庁の窓口や行政書士など、入管手続きの専門窓口に確認してください。判断は在留資格の種類や滞在期間によって個別に変わります。
よくある質問
日本語があまり話せなくても退職代行は使えますか
使えること自体は多いですが、対応できる言語は業者によって差があります。申し込む前の無料相談で希望する言語や連絡手段を伝え、チャットやメールなど文字でやり取りできるかを確認しておくと安心です。
退職代行を使うと在留資格に影響しますか
退職代行はあくまで退職の意思を伝える手段なので、辞め方そのもので在留資格の可否が決まるわけではありません。ただし就労系の在留資格では、退職後の届出や、次の勤務先が決まらない期間の扱いが問題になることがあります。個別の判断は入管の窓口や行政書士に確認してください。
安い業者でも会社と交渉してもらえますか
価格帯が低いサービスの多くは民間企業が運営しており、会社と条件を交渉する権限がありません。有給の消化日や退職日をめぐって話し合いが必要になりそうなら、労働組合が運営するタイプか弁護士が対応するタイプを選ぶ必要があります。
帰国が決まっていても依頼できますか
依頼すること自体は可能です。ただし帰国後に離職票や源泉徴収票を受け取る方法、最後の給与の振込先をどうするかは先に決めておく必要があります。相談の段階で帰国の予定を伝え、書類の受け取り方まで含めて詰めておきましょう。
まとめ
外国人であることを理由に退職代行の料金が上がることはなく、費用の差は運営元の違いから生まれます。そのまま受理されそうなら民間企業型で費用を抑え、有給や退職日でもめそうなら労働組合型、未払い賃金や損害賠償が絡むなら弁護士が対応するタイプ、という順で考えると選びやすくなります。あわせて、言葉の不安は無料相談の段階で伝えておくこと、在留資格の手続きは入管や行政書士など別の専門窓口に確認することを忘れないでください。
未払い賃金や損害賠償の話がすでに出ている場合は、法的な対応ができる弁護士の窓口で相談内容を整理しておくと、次に何をすべきか判断しやすくなります。

