不妊治療と仕事の両立がつらく、辞めたいと考えたときに確認しておきたいことを整理しました。使い切っていない制度がないかの見直し、退職後の健康保険と給付の扱い、治療を続けるための費用の見通し、そして退職代行に頼む場合の選び方まで、順に見ていきます。
辞める前に、使い切っていない制度がないか確認する
不妊治療は通院日が直前に決まることが多く、シフトや会議の予定と合わせるのが難しい点が大きな負担になります。ただ、辞めると決める前に、会社や公的な制度で使えるものが残っていないかを一度確認しておく価値はあります。
国は不妊治療と仕事の両立支援を進めており、通院のために時間単位で取れる休暇や、短時間勤務、テレワークといった仕組みを整えている会社もあります。就業規則や社内の案内に「不妊治療」「両立支援」といった項目がないか探してみてください。制度があるのに周知されていないだけ、という会社も珍しくありません。
制度がない、あるいは申し出ても取り合ってもらえないという場合は、辞めるという選択が現実的になります。その判断自体は誰かに責められるようなものではありません。
体調を崩しているなら、退職の前に休職という道もある
治療そのものの負担や、結果が出ないことが続く精神的な負担で体調を崩している場合、医師の判断によっては傷病手当金の対象になることがあります。傷病手当金は健康保険から支給されるもので、在職中に受給が始まっていれば、要件を満たす場合には退職後も引き続き受け取れることがあります。
ここは要件が細かく、健康保険への加入期間や退職日の働き方によって結論が変わります。仕組みの概要は退職代行で辞めたあとの傷病手当金の扱いで整理していますが、自分が該当するかどうかは加入先の健康保険組合や協会けんぽに確認してください。
退職後の健康保険をどうするかを先に決めておく
保険が適用される範囲の治療については、退職後も何らかの公的医療保険に入っていれば自己負担の割合は変わりません。問題になるのは、保険が切り替わるタイミングで手続きが遅れ、一時的に窓口で全額を払うことになる事態です。
退職後の選択肢は主に三つあります。
- 任意継続…それまでの健康保険を最大2年間続ける方法。退職日の翌日から20日以内という申請期限があります。
- 国民健康保険…お住まいの市区町村で加入する方法。前年の所得によって保険料が決まります。
- 家族の扶養に入る…配偶者などの被扶養者になる方法。収入の要件があります。
どれが有利かは前年の収入や世帯の状況で変わるため、任意継続の保険料を勤務先に問い合わせ、国民健康保険の保険料を市区町村に試算してもらって比べるのが確実です。任意継続の期限は短いので、退職日が決まった時点で動き出してください。手続きの全体像は退職代行で辞めたあとの健康保険と年金の手続きにまとめています。
治療を続けるなら費用と収入の見通しも立てる
退職すると収入が減るぶん、治療費の負担感は相対的に大きくなります。自治体によっては保険適用外の治療に独自の助成を設けているところがあり、所得で対象を判断している場合、退職によって新たに対象になることもあります。お住まいの自治体の窓口で条件を確認してみてください。
また、退職後に失業給付を受けるつもりであれば、受給には「働ける状態にあり、求職活動をしていること」が前提になる点に注意が必要です。治療に専念してすぐには働けないという場合は、受給期間の延長を申請しておくと、働ける状態になってから受け取れます。この申請にも期限があるため、退職前に流れを把握しておくと安心です。
雇用保険まわりの基本的な流れは退職代行を使ったあとの失業保険の手続きで解説しています。金額や受給の可否は個別の事情で変わるので、最終的にはハローワークの窓口で自分のケースとして確認してください。
退職代行に頼む場合の選び方
治療の内容はきわめて個人的なことです。上司に説明したくない、説明したのに配慮されなかった、という段階まで来ているなら、退職を自分で切り出す負担を外に出す選択は十分に合理的です。退職代行に依頼すれば会社への連絡は代行会社が引き受けるので、本人が直接やり取りする必要はなくなります。
選ぶときに見ておきたいのは次の点です。
- 有給が残っている場合、消化について会社と話し合えるか(交渉できるのは労働組合が運営するタイプか弁護士が対応するタイプです)
- 退職理由をどこまで会社に伝えるか、こちらの希望を反映してもらえるか
- 通院で日中に電話へ出られない場合、チャットやメールでやり取りできるか
- 追加料金の有無と、退職できなかった場合の返金の扱い
料金の相場観を先に知っておきたい場合は安い退職代行の比較ページを、女性向けのサービスを探している場合は女性向け退職代行の比較もあわせてご覧ください。妊娠・出産を機に辞める場合に使える制度との違いは妊娠・出産を機に退職代行で辞めるにはで扱っています。
よくある質問
引き止められそうで退職を言い出せません
退職の理由を細かく説明する義務はありません。「一身上の都合」とだけ伝えて退職届を出すことは可能です。それでも切り出しづらい、あるいは伝えたあとの職場の反応が怖いという場合に、退職代行を間に挟む意味があります。
治療中であることを会社に知られたくありません
退職代行に依頼する際、伝えてほしくない内容は事前に共有しておけば、そこに触れずに手続きを進めてもらえます。申し込みの段階で「理由は一身上の都合で統一してほしい」とはっきり伝えておきましょう。
退職したら不妊治療の保険適用はどうなりますか
保険が使える範囲は、加入している公的医療保険の種類によって変わるものではありません。任意継続でも国民健康保険でも自己負担の割合自体は同じです。ただし切り替えの手続きが遅れると一時的に全額負担になるため、退職日の前から準備を進めてください。
退職の前に休職して治療に専念できますか
休職制度の有無と条件は、会社ごとに就業規則で定められています。制度があり、医師の診断書が出る状態であれば、退職の前に休職を選ぶこともできます。復職の見込みや収入の見通しも含めて、主治医や家族と相談して決めるとよいでしょう。
まとめ
不妊治療と仕事の両立が限界に近いと感じたら、まず会社に使える制度が残っていないかを確認し、体調を崩しているなら休職や傷病手当金の可能性を医師と相談してみてください。そのうえで辞めると決めたら、退職後の健康保険の切り替えと、失業給付の受給期間の延長を期限内に済ませることが大切です。会社に自分から切り出すことがどうしても難しい場合は、退職代行に連絡を任せる方法があります。
有給の消化や退職日の調整まで含めて相談したい場合は、女性からの依頼に対応している窓口で、無料相談の段階で希望を伝えておくと進めやすくなります。

