リモート勤務や在宅勤務でも、退職代行は出社している人と同じように利用できます。この記事では、在宅勤務者が退職代行を使うときの料金相場、費用を抑える選び方、会社から借りているPCや備品の返し方、そしてアカウントが止まる前にやっておくことを整理します。
リモート勤務でも退職代行は同じように使える
退職代行は、勤務場所や勤務形態を問わず利用できます。オフィスに出社している人も、自宅から働いている人も、会社と雇用契約を結んでいる労働者であることに変わりはありません。期間の定めのない雇用契約であれば、民法第627条により、退職を申し入れてから2週間が経過すれば契約は終了します。在宅勤務であることを理由に退職を拒まれる法的な根拠はありません。
むしろリモート勤務の人にとって、退職代行は相性がよい面があります。普段から顔を合わせる機会が少なく、やり取りがチャットやメールで完結しているため、退職の連絡だけが対面や電話になるほうが不自然だからです。上司との1対1のビデオ通話が気が重くて切り出せない、という理由で利用する人も少なくありません。
基本的な進め方は出社勤務の場合と変わりません。リモートワーク中に退職代行を使うときの流れもあわせて確認しておくと、全体像がつかみやすくなります。
リモート勤務者が退職代行を使うときの料金相場
退職代行の料金は、勤務場所ではなく「運営しているのが誰か」で大きく変わります。在宅勤務だから高くなる、あるいは安くなるという料金設定は一般的ではありません。運営元は大きく三つに分かれ、それぞれできることと価格帯が異なります。
| 運営元 | できること | 価格帯の傾向 |
|---|---|---|
| 民間企業 | 退職の意思を伝える伝達のみ | もっとも安い |
| 労働組合 | 伝達に加えて会社との交渉 | 中間 |
| 弁護士 | 交渉に加えて法的請求への対応 | もっとも高い |
労働組合が運営するサービスには、アルバイト・パート(社会保険未加入)が1万8,800円(税込)、正社員・契約社員・派遣社員・内定辞退・休職などが2万1,800円(税込)で、いずれも組合費1,000円が別途かかるという料金体系のものがあります。弁護士が運営するサービスは、未払い賃金の請求など法的な対応まで含むぶん、労働組合が運営するものより高めに設定されているのが一般的です。
運営元ごとの違いをもう少し詳しく知りたい場合は、退職代行の運営元による違いを確認してみてください。料金だけで選ぶと、いざ有給の交渉が必要になったときに対応してもらえないことがあります。
費用を抑えるための三つのポイント
1. 交渉が必要かどうかを先に見極める
退職の意思を伝えるだけで足りるなら、民間企業が運営する安いサービスでも目的は果たせます。一方で、残っている有給を使い切りたい、未払いの残業代がある、といった事情があるなら、交渉できる労働組合か弁護士でなければ対応できません。民間企業が会社と交渉すると非弁行為にあたるおそれがあるためです。安さだけで選んで結局もう一度依頼し直すと、かえって高くつきます。
2. 追加料金の有無を申し込み前に確認する
表示されている基本料金のほかに、組合費、オプション料金、深夜や土日の対応料が別にかかるサービスがあります。総額でいくらになるのかを、申し込み前の無料相談で確認しておくと安心です。料金を抑える具体的な考え方は安い退職代行の選び方にまとめています。
3. 返金保証の条件を読んでおく
「退職できなければ全額返金」とうたうサービスは多いものの、返金が認められる条件はサービスごとに異なります。どういう場合に返金されるのか、いつまでに申し出る必要があるのかを、利用規約で確かめておきましょう。
PC・モニターなど貸与品の返却はどう進めるか
リモート勤務でいちばん実務的な問題になりやすいのが、会社から借りている物の返却です。ノートPC、モニター、Webカメラ、社用スマートフォン、セキュリティキーなど、出社勤務より貸与品が多くなりがちだからです。
基本は郵送または宅配便での返送になります。退職代行に依頼するときに「返却したい物の一覧」を伝えておくと、代行業者から会社へ送付先や希望の返却方法を確認してもらえます。送料をどちらが負担するかは会社の規定によるため、これも一緒に確認しておくとやり取りが一度で済みます。
発送する前に、型番や本体の状態を写真に撮っておくことをおすすめします。追跡番号の残る方法で送り、控えを保管しておけば、「届いていない」といった行き違いが起きたときに説明できます。私物と会社の物が混ざっている場合は、退職代行に連絡を入れる前に仕分けを済ませておくとスムーズです。返却の進め方は貸与品の返却方法でも詳しく整理しています。
アカウントが止まる前にやっておきたいこと
リモート勤務特有の注意点として、退職の連絡が会社に伝わった直後に、社内システムへのアクセス権が停止されることがあります。出社勤務なら机の中を確認する時間がありますが、在宅勤務ではアカウントが止まった時点で何も見られなくなります。
そのため、退職代行に連絡する前に次の点を済ませておくと安心です。
- 雇用契約書、就業規則、給与明細など自分に関わる書類の控えを手元に残す
- 社内システムに登録している私物の情報(自宅住所や個人の連絡先)を把握しておく
- 経費の立て替えが残っていれば、金額と内容をメモしておく
- 離職票や源泉徴収票の送付先として使ってほしい住所を整理しておく
なお、業務上のデータを個人の端末やアカウントに持ち出すことは、就業規則や秘密保持の取り決めに触れるおそれがあります。持ち出すのは、あくまで自分の労働条件や給与に関する書類の控えにとどめてください。判断に迷う場合は、無料相談の段階で確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
一度も出社したことがなくても退職代行は使えますか
使えます。フルリモートで入社し、一度も出社していない場合でも、雇用契約が成立していれば労働者として退職を申し入れる権利があります。入社直後の退職でも同じです。
会社が地方にあり、自分は別の県に住んでいます。対応してもらえますか
多くの退職代行はオンラインと電話で全国に対応しているため、勤務先と居住地が離れていても問題になりません。申し込みから連絡、書類のやり取りまで自宅で完結します。
貸与品を返さないと退職できませんか
返却は退職の条件ではありません。退職の効力と貸与品の返還はそれぞれ別の話です。ただし借りている物は返す義務があるため、退職の手続きと並行して速やかに返送しましょう。破損や紛失があるときは、弁償の要否を含めて会社と話す必要があるため、交渉できる運営元を選んでおくと安心です。
在宅勤務中の光熱費や通信費の手当は退職後にもらえますか
在宅勤務手当の扱いは会社の規定によって異なり、日割りで支給されることも、退職月は対象外とされることもあります。就業規則や賃金規程の記載を確認し、支払われるはずのものが支払われていない場合は、交渉できる運営元に相談してください。
まとめ
リモート勤務でも退職代行は問題なく利用でき、料金も勤務場所ではなく運営元によって決まります。交渉が必要ないなら安いサービスで足りますが、有給の消化や未払い賃金の請求を考えているなら、労働組合か弁護士が運営するサービスを選んでおくほうが結果的に無駄がありません。あわせて、貸与品の返却方法とアカウント停止への備えを先に整えておくと、連絡した後の流れがぐっと楽になります。
※記載の料金・条件は2026年9月時点で各社公式サイトに掲載されていた内容です。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
未払いの残業代や在宅勤務手当など、お金に関わる交渉が必要になりそうな場合は、弁護士が直接対応するサービスであれば法的な請求まで一貫して任せられます。まずは無料相談で、自分のケースが交渉の対象になるかを確認してみてください。

