ホテル・旅館で働く人が退職代行を使うときの料金相場は、労働組合が運営するサービスで2万円前後、弁護士が運営するサービスで5万円前後が目安です。この記事では、シフト制や住み込みの寮といった宿泊業ならではの事情をふまえ、費用を抑えながら辞めるための手順を整理します。
ホテル・旅館スタッフの退職代行の料金相場
退職代行の料金は、宿泊業だから高くなるという設定にはなっていません。金額を決めているのは、サービスの運営元がどこかという点と、自分の雇用形態です。まず全体像を押さえておきましょう。
| 運営元 | 料金の目安 | できることの範囲 |
|---|---|---|
| 労働組合 | 2万円前後 | 退職の意思を伝えるほか、有給消化や退職日について会社と話し合える |
| 民間企業 | 2万円台から | 退職の意思を会社に伝える連絡が中心。条件の交渉はできない |
| 弁護士 | 5万円前後 | 交渉に加え、未払い賃金の請求や損害賠償を求められた場合の対応もできる |
アルバイトやパートの区分を設けているサービスでは、正社員より数千円安く設定されていることがあります。ただし判断の基準が「社会保険に加入しているかどうか」に置かれている場合もあるため、フロントや客室清掃で週の勤務時間が長い方は、正社員と同じ区分になる可能性がある点に注意してください。運営元ごとの違いは退職代行の種類と運営元の違いで詳しく説明しています。
宿泊業で退職代行の費用が変わりやすい場面
ホテル・旅館の退職では、一般的な職場では起きにくい論点がいくつかあります。これらが絡むと、安いプランでは対応しきれず、結果的に費用がかさむことがあります。
寮や社宅に住んでいる場合
住み込みで働いている方は、退職と同時に住まいの問題が発生します。いつまでに退去するのか、寮費の精算はどうなるのか、鍵はどう返すのかといった話し合いが必要になるため、会社と条件を詰められる運営元を選んだほうが安全です。退職の連絡しかできないプランでは、この部分を自分で交渉することになります。
繁忙期の途中で辞める場合
年末年始や連休、観光シーズンは人手が最も足りない時期です。この時期に退職を申し出ると引き止めが強くなりやすく、連絡のやり取りが複数回に及ぶことがあります。追加料金なしで何度でも対応してもらえるかどうかを、申し込み前に確かめておきましょう。
制服や備品を借りている場合
制服、名札、館内用の靴、ロッカーの鍵、タイムカード、社員証などは会社の貸与品です。返却の方法でもめると連絡が長引くため、郵送で返したい意向を最初に伝えておくと話が早く済みます。
費用を抑えるための確認ポイント
総額でいくらになるかを聞く
表示されている金額が、最後まで対応してもらえる総額とは限りません。労働組合が運営するサービスでは組合費が別途必要な場合がありますし、書類の郵送費や振込手数料が利用者負担になっていることもあります。無料相談の段階で、自分の雇用形態と状況を伝えたうえで総額を確認してください。
深夜や早朝でも連絡できるかを見る
宿泊業は夜勤や早番があり、日中に連絡を取りにくい方が少なくありません。相談の受付時間が限られているサービスだと、やり取りに何日もかかります。料金が同じなら、自分の勤務時間帯に合わせて連絡できるところを選んだほうが結果的に負担が軽くなります。夜勤中心の働き方については夜勤・シフト勤務のまま退職代行を使うときの注意点もあわせて確認してください。
返金保証の適用条件を読む
返金保証があるサービスでも、適用されるのは所定の要件を満たした場合に限られます。どのような場合に返金されるのか、申請の期限はいつまでかを、利用規約で確かめてから申し込みましょう。
職種を問わない費用の考え方は安い退職代行の選び方にまとめています。提示された金額が妥当かどうかを判断する材料になります。
依頼する前に用意しておきたい情報
申し込みの際に聞かれることが多い項目です。事前にメモしておくと、その日のうちに手続きを進めやすくなります。
- 勤務先の正式名称、所在地、代表者名、電話番号
- 自分の雇用形態、入社日、所属部署(フロント、客室、調理、清掃など)
- 希望する退職日と、有給の残日数
- 寮に住んでいる場合は、退去できる時期の希望
- 借りている制服や備品の一覧
- 実家や家族へ連絡してほしくない場合はその旨
シフトがすでに翌月まで組まれている場合は、その状況も伝えておきましょう。出勤しない日をいつからにするかを決める材料になります。
未払いの残業代がありそうなときの考え方
宿泊業では、中抜けの時間や仮眠時間の扱い、繁忙期の時間外労働について、実際の勤務と給与が合っていないケースがあります。未払いの賃金を請求したい場合、その交渉ができるのは弁護士が運営するサービスに限られます。料金は5万円前後と高くなりますが、請求できる金額のほうが大きくなることもあるため、タイムカードの控えや給与明細が手元にあるなら一度相談してみる価値はあります。
未払い賃金の有無や請求できる金額は、勤務実態と証拠の残り方によって判断が分かれます。金額の見込みについては、弁護士や労働基準監督署などの専門窓口で個別に確認してください。
よくある質問
繁忙期の途中でも退職代行は使えますか
時期を理由に退職代行が使えなくなることはありません。ただし人手が不足している時期は引き止めの連絡が続きやすいため、追加料金なしで複数回の対応をしてもらえるサービスを選んでおくと安心です。
寮に住んでいますが、すぐに追い出されませんか
退去の時期は、寮の利用規程や会社との取り決めによって変わります。当日に出ていく必要があるとは限りませんが、扱いは会社ごとに異なるため、退職の連絡と一緒に退去時期の希望を伝えてもらうのが現実的です。
住み込みで貯金がなくても依頼できますか
後払いや分割払いに対応しているサービスもありますが、利用には条件があり、すべての人が使えるとは限りません。まず無料相談で支払い方法を確認し、総額と支払い時期を把握したうえで判断してください。
安いプランでも有給を消化してから辞められますか
民間企業が運営するサービスは、退職の意思を伝えることはできても、有給や退職日について会社と話し合うことはできません。有給を使い切ってから辞めたい場合は、労働組合か弁護士が運営するサービスを選ぶ必要があります。
まとめ
ホテル・旅館スタッフの退職代行は、労働組合の運営で2万円前後、弁護士の運営で5万円前後が目安です。宿泊業は寮の退去、繁忙期の引き止め、貸与品の返却といった話し合いが発生しやすいため、料金の安さだけで選ぶと対応範囲が足りなくなることがあります。未払い賃金の請求まで視野に入れる場合は、弁護士が運営するサービスを検討してください。
※記載の料金・条件は2026年9月時点の各社公式サイトの掲載内容および一般的な価格帯をもとにした目安です。最新の内容は各公式サイトでご確認ください。
未払いの残業代や損害賠償の話が出ている場合は、交渉まで任せられる弁護士運営のサービスに相談しておくと安心です。

