退職代行を使って辞めた場合でも、雇用保険の加入期間は一定の条件を満たせば次の勤務先に通算されます。鍵になるのは、離職から再就職までの空白と、その間に基本手当を受け取ったかどうかです。この記事では通算の条件と転職先での扱いを整理します。
雇用保険の加入期間が通算される条件
雇用保険の被保険者だった期間は、次の2つを満たしていれば前の勤務先の分と合算されます。
- 前の会社を離職した日から次の会社に就職した日までが1年以内であること
- その間に基本手当(いわゆる失業保険)を受給していないこと
どのように辞めたかは条件に含まれていません。自己都合か会社都合か、退職代行を使ったかどうかは、通算の可否に影響しない仕組みです。
逆に言えば、失業保険を受け取った時点で、それまでの加入期間はいったん精算されたものとして扱われます。基本手当を受けるか、加入期間を残すかは、状況によって有利不利が変わる判断になります。
なぜ加入期間が重要なのか
基本手当を受け取るには、原則として離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることが必要とされています。倒産や解雇などで離職した場合には、離職前1年間に6か月以上という緩和された基準が適用されます。
つまり、短い期間で転職を繰り返している人にとって、前職までの加入期間が通算されるかどうかは、いざというときに給付を受けられるかを左右します。給付の条件そのものは退職代行と失業保険の記事で詳しく扱っています。
また、加入期間の長さは、基本手当を受けられる日数にも関係します。同じ年齢・同じ離職理由でも、被保険者であった期間が長いほど所定給付日数が多くなる仕組みです。
被保険者番号は引き継がれる
雇用保険には、一人に一つの被保険者番号が割り当てられます。この番号は転職しても変わらず、同じ番号を使い続けることで加入記録が積み上がっていきます。
番号が確認できるのは、雇用保険被保険者証です。会社が保管しているケースが多いため、退職代行に依頼する際、離職票や源泉徴収票とあわせて返却を頼んでおきましょう。受け取り方は雇用保険被保険者証の記事で整理しています。
もし被保険者証をなくしても、ハローワークで再交付を受けられます。本人確認書類があれば、原則として即日で対応してもらえることが多いようです。厚生年金側の番号については年金手帳と基礎年金番号の記事で整理しています。
転職先に提出するときの流れ
新しい会社に入社すると、雇用保険の加入手続きのために被保険者番号の提出を求められます。提出するのは被保険者証、または番号が分かる書類です。
| 提出するもの | 目的 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者証 | 被保険者番号を引き継ぐため |
| 前職の源泉徴収票 | 年内に再就職した場合の年末調整のため |
| 基礎年金番号が分かる書類 | 厚生年金の加入手続きのため |
被保険者証には、前の勤務先の名称と資格取得日が記載されています。これを提出することで転職先に前職名は伝わりますが、退職の経緯までは記載されていません。
番号が二重になっている場合
過去に、被保険者証を提出せずに入社した結果、新しい番号が発行されてしまうことがあります。この状態を放置すると加入記録が分断され、通算されるはずの期間が反映されません。
心当たりがある人は、ハローワークで記録の照会と統合を依頼してください。手続きは無料で、本人からの申し出で対応してもらえます。
離職票が届かないと手続きが進まない
被保険者期間の記録そのものはハローワークが管理していますが、失業保険の申請には会社が発行手続きをする離職票が必要です。退職代行を使う場合は、依頼の段階で離職票の発行と郵送を希望として伝えてもらいましょう。
離職票は、会社がハローワークに手続きをしたうえで交付されるため、退職日から手元に届くまで2週間程度かかるのが一般的です。それを大きく超えても届かない場合は、代行業者を通じて催促するか、ハローワークに相談して会社へ働きかけてもらう方法があります。
再就職手当という選択肢もある
基本手当を受給すると加入期間はリセットされますが、早期に再就職した場合には再就職手当が支給される制度があります。一定の要件を満たすと、残っている給付日数に応じた額を受け取れる仕組みです。
受け取るか残すかを迷う場合は、次の就職の見込み時期を踏まえて、ハローワークの窓口で自分のケースの試算を聞いてみるのが確実です。
よくある質問
退職代行を使うと加入期間で不利になりますか
なりません。雇用保険の記録は、事業主が届け出た資格の取得日と喪失日で管理されており、どのように退職の意思を伝えたかは記録されません。
離職から1年を超えてしまいました
1年を超えると、原則としてそれまでの被保険者期間は通算されず、新しい勤務先での期間から数え直しになります。ただし、病気や出産などで働けない期間があった場合には、受給期間の延長が認められる制度があります。事情がある場合はハローワークに相談してください。
失業保険を少しだけ受け取った場合はどうなりますか
基本手当を1日でも受給すると、それまでの被保険者期間はリセットされる扱いです。受け取るかどうかを決める前に、次の就職の見込みとあわせて考えることをおすすめします。書類の受け取りサポートは退職代行の比較ランキングでも比較できます。
まとめ
退職代行を使ったこと自体が、雇用保険の加入期間に影響することはありません。通算の条件は、離職から再就職までが1年以内であることと、その間に基本手当を受給していないことの2つです。被保険者証は必ず受け取り、転職先に同じ番号で引き継いでもらうことが、記録を守るいちばん確実な方法です。

