退職代行に数万円を払ったあと、「この費用は経費にできないだろうか」「確定申告で戻ってこないだろうか」と考える方がいます。結論からいえば、会社員が個人的に負担した退職代行の費用を所得から差し引くのは、一般的には難しいと考えられています。この記事では、その理由と、代わりに確認しておきたい退職前後の税金の手続きを整理します。なお税務の取り扱いは個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。
会社員の退職代行費用は控除の対象になりにくい
給与所得者が受けられる控除には、医療費控除や生命保険料控除など、法律で定められた種類があります。退職代行の費用はそのいずれにも当てはまらないため、確定申告で差し引くことはできないと考えるのが自然です。
給与所得者には特定支出控除という制度もありますが、対象となるのは通勤費や研修費、資格取得費、単身赴任者の帰宅旅費など、職務の遂行に直接必要と認められる支出に限られています。退職するための費用がここに含まれるとは考えにくく、加えて控除を受けるには給与所得控除額の一定割合を超える支出が必要で、会社の証明も求められます。実務的には現実味が薄い方法です。
個人事業主やフリーランスの場合はどうか
事業を営んでいる方が、事業に関連して発生した費用を経費に計上できるのは基本の考え方です。ただし退職代行は、あくまで個人が雇用契約を終了させるために使うサービスです。これから始める事業のための支出とみなせるかというと、直接の関連を説明するのは簡単ではありません。
会社を辞めて独立するというケースでも、退職そのものは個人の身分に関する事柄です。開業費として整理できるかどうかは事情によって判断が分かれるため、自己判断で計上せず、税理士や税務署に事前に確認することをおすすめします。
それより確認しておきたい退職後の税金
退職代行の費用を税金で取り戻すことを考えるより、退職に伴って発生する税金の手続きを押さえておくほうが、金額としては大きく影響します。とくに重要なのが所得税の精算と住民税の支払いです。
年の途中で退職して年末時点で就職していない場合、その年の所得税は精算されていない状態になります。翌年に確定申告をすることで、納めすぎていた所得税が戻ってくることがあります。給与から天引きされていた源泉徴収額と、実際の年収に対する税額の差が還付されるためです。手続きには会社から届く源泉徴収票が必要になります。
住民税は退職のタイミングで扱いが変わる
住民税は前年の所得に対して課される税金で、退職後も支払い義務が残ります。給与から天引きされていた分は、退職の時期によって、残額を一括で天引きされる場合と、自分で納付書を使って支払う場合に分かれます。一月から五月に退職する場合は残りを一括徴収するのが原則とされており、最後の給与から大きく引かれて驚くことがあります。
収入がなくなったあとに前年分の住民税を支払うのは負担が大きくなりがちです。退職前に、自分の住民税がどの方法で処理されるのかを確認しておくと、資金計画を立てやすくなります。会社と直接やりとりしたくない場合は、代行の担当者を通じて確認を依頼することもできます。
費用を抑えたいなら料金比較のほうが確実
税制で取り戻すことが難しい以上、負担を減らす現実的な方法は、はじめから料金と対応範囲を比較して選ぶことです。同じ労働組合型でも金額には幅がありますし、追加費用の有無まで含めて比べると差はさらに広がります。各社の料金は安い退職代行おすすめ比較のページで確認できます。
源泉徴収票が届かないときの対処
確定申告をするには、退職した会社から発行される源泉徴収票が必要です。退職後一か月以内に交付するものとされていますが、実際には届かないという相談は少なくありません。代行に依頼している場合は、担当者を通じて会社へ発行を求めてもらえます。自分で連絡したくない事情があるなら、この点を申し込み時に伝えておくとよいでしょう。
それでも交付されない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出する方法があります。税務署から会社へ指導が行われる仕組みで、費用はかかりません。離職票が届かない場合はハローワークが窓口になるなど、書類ごとに相談先が異なるため、何が届いていないのかを整理してから動くと解決が早くなります。
よくある質問
領収書はもらっておくべきですか?
控除に使えない場合でも、支払いの証拠として保管しておく意味はあります。サービスとトラブルになったときの資料にもなるため、発行を依頼しておきましょう。
退職代行の費用に消費税はかかりますか?
事業者が提供するサービスなので消費税の対象です。表示価格が税込か税別かで総額が変わるため、比較の際は必ず確認してください。
退職後に確定申告は必ず必要ですか?
年内に再就職して新しい勤務先で年末調整を受けた場合は、原則として不要です。年をまたいで無職だった場合は、申告することで税金が戻る可能性があります。詳しくは税務署の窓口で確認してください。
まとめ
会社員が支払った退職代行の費用を、確定申告で控除したり経費に計上したりするのは一般的には難しいと考えられます。それよりも、退職後の確定申告による所得税の還付と、住民税の支払い方法の確認のほうが金額へのインパクトは大きくなります。費用そのものを抑えたいなら、申し込み前に料金と対応範囲を比較しておくのがもっとも確実です。個別の税務判断が必要な場合は、税務署や税理士に相談してください。

